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「舞いあがれ 東大阪」メッセージ

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中山 正三さん

西本 隆子さん

村中 克さん

株式会社プラス

(写真左から)中山 正三(なかやま しょうぞう)さん、西本 隆子(にしもと たかこ)さん、村中 克(むらなか かつ)さん。

熟練の技術から生み出された
“自然に還る歯ブラシ”

ブラシやハケが古くから地場産業の一つである東大阪で、眉毛ブラシや化粧用ブラシ、歯ブラシなどの植毛加工を行っている株式会社プラス。同社が手がけ、究極のエコ歯ブラシとして話題となったのが、“自然に還る歯ブラシ”をコンセプトに、職人が一つひとつ手作業で仕上げる「turalist(チュラリスト)」だ。天然木と天然毛からつくられた自然素材100パーセントの歯ブラシが出来上がったのは、「モノづくりのまちの技術と経験を守りたい」という広報の村中 克さんの思いがきっかけだった。

2021年に誕生した「turalist」。毛の硬さは4種類から選べる。

歯ブラシの持ち手(ハンドル)といえばプラスチック製が一般的だが、「turalist」はすべて天然の素材を使用している。「当初は竹を使って試行錯誤を繰り返していたのですが、しっくりこなくて。諦めかけていたら、友人の家具職人から提案されたのが、端材で出たブナの木。しっくりと手に馴染み、使い心地の良さにも満足できたことから採用しました」と村中さん。

歯ブラシのなかで特に重要なのが毛の部分。通常は機械による作業が主だが、「turalist」の場合はハンドルに木を使っているので、現在の大量生産の機械では植毛することができない。
そこで出番となるのが、今では数少ない手作業での植毛技術を持つ西本 隆子さんだ。部品も残っておらず、壊れると修復することもできない昭和20年代~40年代製の植毛機を自身でメンテナンスしながら、月に150本という限られた数の「turalist」を1本ずつつくり出している。
「プラスチックとは異なる繊細な力加減が必要なんです。天然木だから筋目を見て、その目に合わせて天然毛の植え方も変えて。ハンドル部分にヒビや割れが入りやすくなるだけじゃなく、歯に当たる感触も変わっちゃうからね。心地良く、長く使ってもらえるよう調整しながら植毛しています」と西本さん。

手作業での植毛技術を持つ職人は、国内でも5人もいないといわれている。
一番のパートナーである機械に語りかけるように、細かな調整を繰り返していく。
不要な毛を除いた後、じっくりと毛先を整えていく。

この植毛技術はもちろんだが、仕上げの工程も重要。担当するのは代表取締役の中山 正三さん。西本さんが植えた毛をざっくりと切りそろえ、機械に当てながらミリ単位で歯の部分を形成していく。「天然木だから植え直しはできないんです。この仕上げを失敗すれば、せっかく植毛してくれた西本さんの努力が水の泡になっちゃう」と、笑いながら話す中山さん。

「turalist」は、なんと半年以上も使い続けることができる“自然に還る歯ブラシ”。「もっと長く使い続けたい」という利用者からの声を受け、新たにメンテナンスサービスもスタートした。

「利用した歯ブラシを預かり、洗浄からエゴマ油の塗布、殺菌まで手作業で行います。しっかり使い込まれた歯ブラシを見ると、愛されているなぁとうれしい気持ちになりますね。だからこそ、この西本さんの植毛技術を絶やしたくない」。

その思いから、今は同じ志を持つ企業と協力して、機械でこの技術を再現できるよう開発を進めているという。「この植毛技術をはじめ、東大阪には多くの技術と経験がありますよね。それを残すためにも企業と企業をもっとつなげていきたいんです。新しいなにかを生み出すきっかけにもなるはずですから」。
後継者問題をはじめとしたさまざまな課題の解決へ、村中さんたちの挑戦は続く。

メンテナンスはすべて手作業で行う。使用状態も確認し、商品の改善にも役立てる。

DATA

株式会社プラス

駅名
JRおおさか東線「衣摺加美北駅」
住所
大阪府東大阪市衣摺2-16-16
電話番号
06-4309-5585
受付時間
9:00〜17:00
定休日
土曜・日曜
アクセス
JRおおさか東線「衣摺加美北駅」から徒歩約9分
公式HP
https://nhes8739.base.shop/
  • ※掲載情報は2023年9月現在のものです。変更している場合があります
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