大正7（1918）年創業、昭和7（1932）年に東大阪に工場を移転した、理美容師向けコームの製造販売を行うリーダー株式会社。「創業時は西洋文化のくしが入る前ですから、つげぐしの製造販売をしていたそうです。プラスチック素材の成形機を導入した昭和25(1950)年からは、一般向けのコームの製造販売をスタート。ただ、安価なものが市場に多く出回ったこともあって、約40年前にプロ向けコームへと舵を切りました」と吉川さん。

扱う代表的なコームは6シリーズ。カーボンやウルテムといった多様な素材を扱い、刈り上げやアフロ用など用途ごとに形状を変えるなど、それぞれ15〜20パターンがあり、商品点数は数え上げられないほど。

その理由というのが、「全国の美容師さんのもとへ直接出向き、使用感などを細かく聞きました。美容師さんそれぞれのクセや好みもありますし、コームの使用方法によってニーズも異なるんです。アイテム数や種類が多いのは、こうした声に応えるよう、歯の長さやピッチの微妙な調整を社員一同で改善してきた結果です。手なじみの良いコームを届けたい！ との思いで何度もつくり直してきたんです」。
20年前にいち早く、自社でプラスチック金型の製造を可能にする設備を導入し、3DCADをはじめとする最新技術の習得に合わせて人材育成にも力を注いだ。その結果、日本でも著名な美容師から依頼が届くなど、業界のリーディングカンパニーへと成長した。

「プロの美容師さんのオーダーは感覚的な言葉が多く、再現するのが本当に難しいんですよ。ただ、道具が一旦手になじむと、ずっとその商品を使い続けてくれるんです。昔の商品の問い合わせが今でもあるのは、つくり手としてうれしく、そこに面白さも感じます」。

また、「金型があるからといって簡単に商品が生まれるわけではない」と吉川さんは話す。「用いる素材によって、最適な製造条件を調整しなければ、求める品質のコームは生まれません。コームの種類や材質によっても機械の調子は変わり、毎回つくるものに合わせて職人が調整します。この繊細な手順は、長年培ってきた技があってこそできるものなんです」。